6月を迎え、今年もあっと言う間に半年が経ち、夏の訪れと梅雨入りに備える時期となりました。
先日、手入れ作業中、お庭の一角にて蹲踞(つくばい)を見かけました。
静かに落ちる水滴の音と広がる美しい波紋。
そこには時間がゆっくりと流れていて
暑さをも忘れさせ、
忙しい心を癒してくれるような空間がありました。
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ということで、今回はその蹲踞(つくばい)、について記事を書かせていただきます。
つくばいとは露地(茶庭)に使われる添景物で、もともと
茶室に入る前に、手を清めるために置かれたものです。
その手を洗う時「つくばう(しゃがむ)」ことからその名がついたようです。
実はこのつくばい、枯山水の方丈石庭で有名な龍安寺にも、「知足の蹲踞」という、これまた有名なつくばいがあるんです。
このつくばいの石の、真ん中は四角くなっており、それを囲むように「五・隹・疋・矢」の4字が刻まれています。
この真ん中の水を溜めておく四角い穴を、漢字の口の字になぞらえて、上から時計回りに読み解くと「吾唯知足」という言葉が浮かび上がります。
吾唯知足には『われ、ただ足るを知る』という意味が込められており「不満に思わず満足する心を持ちなさい」という戒めの意味が込められているのだとか。
モノや情報が溢れるこの時代で、あれも欲しい、これも欲しいなどと、欲求のスパイラルに陥ることも少なくありません。
自分に欠けているもの、ないものばかりに目を向けるのではなく、まずは自分の持っているものに満足し、そして感謝できるようにしなさい。
と現代人にも訴えかけているように私は感じます。
日本の庭にはそんな思想や、生き方を考えさせる要素が沢山あります。
(ブログ担当:加藤)